ダイバーシティ

ダイバーシティとは

ダイバーシティーとは、多様性と訳されます。
つまり、多様な人材や、多様な働き方を受け入れていくということになります。
 ⇒労働人口の減少に、対抗する方策として、取り上げられ始めてきました。

  • 働き方 ⇒ 正社員、短時間正社員、限定正社員、在宅勤務、派遣労働、期間雇用、企画業務型裁量労働、高度プロフェッショナル制度(特定高度専門業務成果型労働制)
  • 人材  ⇒ 高齢者・若年者、男性・女性、国籍(人種)、信条(宗教)、健常者・障害者、LGBT 

「多様な働き方改革」でうまれる社会  (出所)内閣府、第51回規制改革会議(平成27年10月26日)提出資料1より

「多様な働き方改革」でうまれる社会
多様な働き方への改革

ダイバーシティの必要性

平成27年9月、「労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律」が、施行されました。

この法律では、「近年、雇用形態が多様化する中で、雇用形態により労働者の待遇や雇用の安定性について格差が存在し、それが社会における格差の固定化につながることが懸念されていることに鑑み、それらの状況を是正するため、労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策に関し、基本理念を定め、国の責務等を明らかにするとともに、労働者の雇用形態による職務及び待遇の相違の実態、雇用形態の転換の状況等に関する調査研究等について定めることにより、労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策を重点的に推進し、もって労働者がその雇用形態にかかわらず充実した職業生活を営むことができる社会の実現に資することを目的とする。」、と規定しています。

今後、この法律に基づいて、調査研究などが実施され具体的な方策が検討されます。
国は、雇用環境の整備のために必要な施策を講ずるとともに、通常の労働者への転換を促進するよう必要な配慮を行うなどとされています。

ダイバーシティの効果

様々な人材に優しいということは、全ての人材に優しいということです。
様々な働き方や人材を活用するシステムが構築されます。
 ⇒ 離職者の防止の対策として、有用であることになります。

「労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律」により、国が必要な施策を講じることとなっていますので、その施策に対応することにより、人材の活用・確保について、国からのバックアップを受けることが可能となることが、考えられます。
 ⇒ 人材不足の解消のための対策として、有用であることになります。

就業規則の必要性

多様な働き方については、その働き方ごとに、働き方の約束をする必要があります。
つまり、働き方に応じた就業規則等を規定することにより、無用なトラブルを防止し、労使双方が安心して働ける制度を構築することが大切ということになります。
また、LGBT該当者等についても、差別のないダイバーシティーな職場を作っていくためにも、就業規則等を作成することにより、優秀な人材の確保ができる職場環境づくりのベースとしていくことが大切です。

性的マイノリティ(LGBT)

電通ダイバーシティ・ラボが実施した「LGBT調査2015」(2015年4月に全国、69,989名を対象に、LGBT層に関する広範な調査を実施)によれば、LGBT層に該当する人は、7.6%(2012年の調査では、5.2%)、LGBT層の商品・サービス市場規模は5.94兆円となったということです。

7.6%とは、この調査の比率を日本の人口と同様であると推定すれば、およそ13人に1人が、LGBT層であるということになります。
2015年6月1日の日本の総人口は、総務省統計局発表の確定値で、1億2692万9千人ですので、9,646,604人と推定でき、ざっと1,000万人近い数の当事者がいるということになります。

※ LGBTとは、
  【L】レズビアン(女性同性愛者)/【G】ゲイ(男性同性愛者)/【B】バイセクシャル(両性愛者)/【T】トランスジェンダー(性同一性障害など)の頭文字をとった単語で、セクシャル・マイノリティー(性的少数者)の総称。
※ レインボーは、LGBTを含むセクシャル・マイノリティー活動のシンボルとして、多くの団体で使用されている。

トラブル例

「性同一性障害」と診断され、戸籍上は男性だが女性として勤務する経済産業省の職員が、平成27年11月、人事異動での不当な待遇や女性用トイレの使用制限など差別的処遇を受けたとして、処遇の改善や約1600万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こしました。LGBTの当事者が職場の処遇改善を求めた訴訟は初めてと言われています。

⇒ 今後益々、LGBTの当事者が社会的に認知され始めていきますので、同様な訴訟のリスクが高まる恐れがあります。
⇒ 他社との差別化を図るために、LGBT層を起点とする消費スタイル(レインボー消費)を、対象とした営業活動も期待されます。

事業主の義務とは

平成26年7月1日より、改正「男女雇用機会均等法施行規則」等が施行されました。
その中で、セクシュアルハラスメントの予防・事後対応の徹底の観点から、職場におけるセクシュアル ハラスメントには、同性に対するものも含まれるものであることを明示する等、セクシュアル ハラスメントに関する指針の見直しが行われました。

職場におけるセクシュアルハラスメントを防止するために、事業主が雇用管理上講ずべき措置と して、厚生労働大臣の指針により 10 項目が定められており、事業主は、これらを必ず実施しなけ ればなりません。

指針10項目の内容は、こちらから
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/danjokintou/dl/120120_06.pdf

求められる予防・対応策

会社は、まず、自社の現状を把握することが大切、当事者がいる場合は、慎重な対応が求められます。
就業規則や社内規程の策定、他の従業員との協調が図れるような職場環境を整えられるかが、ポイントになります。

  1. 就業規則に、LGBTへの差別禁止を盛り込む。
  2. 制服の着用や服装についての柔軟性を持つ。
  3. トイレや更衣室等の、使用についての理解を。
  4. 配偶者に限られている家族手当その他の福利厚生(慶弔見舞金制度や休暇制度など)について、同性パートナーについてもできる限り対応する。

⇒ 今後は、労働人口が減少し、ますます優秀な従業員を採用することが困難になってきます。他社との差別化を図り、離職を防ぐためにも、会社の強みとして取り組みを進めることも大切です。